投資

リスク管理

リスク管理

リスク管理

海運業を中心として、約800隻の多様な船舶や海上プラントを運航・操業し、様々な社会インフラを提供する当社にとって、衝突・座礁・火災といった事故による船体・積み荷・乗組員への損害や損傷、貨物油や燃料油流出による環境汚染(油濁)は最も重大なリスクの一つです。当社は事故を未然に防ぐため、保有船・傭船の区別に関わらず、安全運航本部と各営業本部、船主(傭船の場合)、及び船舶管理会社との緊密な連携のもと、船員に対する教育・指導や、安全を担保する船体仕様の整備などソフト面・ハード面で様々な対策を講じています。また、海賊やテロの危険に対しても、十分な訓練、緻密な運航ルール設定、陸上からのサポート、必要な設備の設置など、様々な備えを行っています。(→当社の安全運航への取り組みについてはこちらもご覧ください)
なお、最善を尽くした上でも避けきれない事故によって当社自身もしくは関係者に損害が発生した場合においても、業績に大きな影響を受けることを回避するため、また十分な補償原資を確保するため、必要な金額の各種保険(賠償責任保険・船体保険・戦争保険・不稼働損失保険)を付保し、備えとしています。
また、レピュテーションリスクを抑えるため、事故発生時のメディア対応や情報発信について、年に一度重大海難事故緊急対応訓練を実施しているほか(→2021年度実施分の詳細はこちらをご覧ください)、必要に応じメディアコンサルタントを起用しています。

海運市況に関わるリスク

リスク総量の限定

船種別調達・契約期間のバリエーション(連結/隻数ベース)

■ 中長期調達・中長期契約船 ■ 中長期調達・短期契約船(市況エクスポージャー部分) ■ 短期調達・短期契約船

主要船種・船型別市況エクスポージャー比率(連結/隻数ベース)

全体隻数 市況エクスポージャー比率
ケープサイズ 81 36%
中小型バルカー 101 2%
VLCC 32 19%
プロダクト船 22 68%
LPG船 9 0%

リスクの分散

期中リスク量の削減

為替変動リスク

金利変動リスク

船舶燃料油価格変動リスク

気候変動リスク

地球温暖化をはじめとする気候変動は、気象・海象の変化をより激しくし、安全運航の妨げに繋がる危険性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れは、大量の燃料油を必要とし、主要貨物として様々な化石エネルギー資源を輸送する当社にとって、公的規制等によるコスト増大や輸送需要の構造的減少などの形で事業環境を大きく変える可能性があります。
当社はこうした流れに即して「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」において2050年までのGHGネットゼロ・エミッション目標を掲げ、その達成に向けてロードマップを策定・公表し、クリーン代替燃料や省エネ技術の導入、効率運航の深度化等を進めています。また、代替燃料輸送や低・脱炭素化に資するソリューションを開発・提供することにより、脱炭素化の流れを新たな需要喚起に繋げ、ビジネスチャンスとしていきます。当社グループが負う気候変動リスクの全体像や対処方針については、TCFDの枠組みを活用し、可視化に努めています。 (→当社のTCFD提言に基づく開示はこちらをご覧ください)

サイバーセキュリティリスク

自然災害・疫病に関するリスク

大規模な地震等の災害発生や感染症の流行(以下「災害等」)により、当社の運航船・事業所・設備や社員に被害が発生し、事業活動に支障が生じる可能性があります。当社では災害等に際して運航船と役職員の安全を最優先に確保し、サプライチェーンを支える社会的役割を継続して果たすこと、また万が一それが中断した場合に早期復旧を図ることを目的に、事業継続計画(BCP)を策定しています。BCPでは、船舶の安全運航維持に関わる業務、運送契約・傭船契約の履行、財務手当て、要員確保等の実施に向けて対応組織・権限等を整備し、具体的な実施手順をマニュアル化しています。
また、サテライトオフィスやシステムのバックアップ体制も整備しており、さらに、本社役職員全員にノート型パソコンを配布し、クラウド型ツール等を活用することで、リモート環境から勤務可能な就労体制を整えています。
災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施しており、そこで明確になった課題に対処することで、より実効性を高めています。

グループ会社の事業運営リスク

当社は国内外に450社を超えるグループ会社を有しています。各社において適正に業務が遂行されるよう、グループ会社経営管理規程に基づき、各社から適時に必要な報告を受け、経営状態及び事業リスクを適切に把握するほか、重要性が高い事項については当社の承認を得た上で実行するよう求めています。
また、グループ会社におけるコンプライアンス確保のため、グループ各社においても当社規程に即した諸規程を定めることとしているほか、当社コンプライアンス相談窓口にてグループ会社役職員からの相談も受け付けています。
監査については、各社が適切に内部監査体制を構築するとともに、当社の経営監査部が内部監査規程に基づき国内外グループ会社に対して定期・臨時に実施しています。

サプライチェーンに関わるリスク

当社は、事業を営む上で欠かせない船舶を造船所(保有船)及び船主(傭船)から調達しています。保有船及び傭船の双方に対して「MOL安全標準仕様」を適用して支配船の設備を一定水準以上に揃えるとともに(短期傭船を除く)、標準仕様自体を効果の面から随時見直しています。保有船の建造期間においては、造船所に監督を派遣し、建造品質を現地で綿密にウォッチするほか、定期的に造船所工場長・安全管理責任者らと現場状況確認を実施し、作業員のケガ・火災等の発生に繋がる要素の発見に努め、必要に応じて是正要請を行っています。また、2020年のモーリシャス沖事故を踏まえ、船主手配船員選定への関与を深めるなど、傭船に対する安全管理を全面的に強化する予定です。役目を終えた保有船は売却しますが、相手先が対象船を解撤する場合には、所定の安全・環境・労働基準を満たし、シップリサイクル条約*に適合している旨を第三者機関(一般財団法人日本海事協会)が認証しているヤードを起用することを条件としています。また、解体作業の様子も詳細なレポートを作成させることで管理しています。
このように、当社は船舶の竣工・傭船開始前、また売却後の段階にも積極的に関与することで、引き続き安全の確保、環境負荷軽減、発注先の労働環境改善を図っていきます。なお、船舶を含む全てのモノ・サービス等の調達時には、「商船三井グループ調達基本方針」に従って進めています。
* 船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のため、IMOにより2009年5月に採択された条約。各国の批准過程にあり、2021年8月時点で未発効。条約では、船舶上にある有害物質の数量・場所を一元管理するリスト(インベントリ)の作成・維持や、船舶リサイクル施設(解撤ヤード)に求められる要件などについて定められている。当社の解撤ヤード選定ルールは本条約発効を先取りしたもの

リスク管理

リスク管理態勢 リスク管理態勢

債務者格付等を基礎に統計分析を行い、与信ポートフォリオ全体が内包する信用リスク量を計測しています。信用リスク量は、一定の確率で生じ得る最大損失から平均的に発生すると予想される期待損失(EL:Expected Loss)を差し引いた非期待損失(UL:Unexpected Loss)によって把握されます。
また、債務者格付の水準に応じて定める基準残高に基づき大口管理先を特定し、管理方針を立案し随時モニタリングを行っています。

投資リスク

類型 主なリスク リターン
企業メザニン 信用リスク等 配当等
企業投資(上場株含む) 事業リスク
マーケットリスク
キャピタルゲイン
不動産・インフラ等 資産価値変動リスク
運営主体による
運営リスク等
インカムゲイン

個別案件の与信管理

個別案件の与信管理 個別案件の与信管理

ポートフォリオ管理

市場リスク

金利リスク

金利リスクとは、金利の変動に伴い損失を被るリスクのことで、資産と負債の金利または期間のミスマッチが存在しているなかで金利が変動することにより、利益が低下ないしは損失を被るリスクです。
DBJでは、金利感応度(Duration及びBasis Point Value)、VaR (Value at Risk)といった多面的な指標を用いたモニタリングを行うと共に、ALM・リスク管理委員会が定めたALM方針に基づき、金利リスクを適切にコントロールすることを通じて、全体の金利収支や経済価値の最適化を図る経常資産負債の総合管理を実施しています。

為替リスク

市場性信用リスク

デリバティブ取引に伴うカウンターパーティリスクについて、金融機関取引は、信用力に応じた限度枠管理をしており、中央清算機関の利用及び相対のCSA(Credit Support リスク管理 Annex)契約による証拠金授受によりリスク低減を図っています。また、事業法人等顧客取引は、会計基準に即したCVA(Credit Valuation Adjustment)を計測し、その変動リスクについても統合リスク管理の枠組みのなかで管理しています。

海外拠点におけるリスク管理の実践

「地政学リスクを踏まえた、日本企業のあるべきリスク管理」Vol.4(『企業リスク』2016年7月号掲載記事)

1.海外拠点におけるリスク管理の実践

1-1.日系グローバル企業におけるこれまでの課題

日系グローバル企業が海外拠点におけるリスクを検討する際、陥りやすい点(課題)が二つある。一つ目は、リスク管理規程、安全管理規程、事業継続計画(BCP)、セキュリティポリシー等の規程の整備を終え満足してしまうこと、二つ目が、子会社の自主性に任せ、リスク管理に関して本社から特段のサポートを行わないことである。
一つ目は多くの日系企業にあてはまるケースでもあるが、グループ本社が苦心して策定した規程類が海外拠点で活用されているケースは少なく、海外拠点の日本人駐在員、ローカルスタッフにヒアリングしても、それら規程類の存在すら知らないことも多い。また、海外拠点では、重厚かつ膨大な種類の規程類を読み解き、かつ、対応できるようなリソースを備えているケースは少ない。
このような状況を回避するため、グループ本社としては、規程類を策定することと同じ程度の労力を費やし、それらをどのように浸透させるかを考え、浸透状況を定期的に確認することが必要となる。
次にリスク管理に関して本社から特段の管理やサポートは行っていないケースであるが、こちらも海外拠点にヒアリングしてみると、「自分たち(海外拠点)はリスク管理の専門家ではないため、何をどうすればよいのかわからない」「リスクへの対策をせよ、とグループ本社から指示を受けても、自分たちで執行できる予算は少なく対策ができない」という不満も聞かれる。後述するとおり、この点も本社として一定のサポートが必要となる。


1-2.どこから始めればよいのか

(1)リスクの評価
グローバル企業では、大小さまざまなリスクを抱えているが、不正リスク、贈収賄リスク、自然災害のリスク等の個別のリスクにピンポイントで焦点を当て検討をはじめた場合、進め方やリスク評価結果を経営陣や社内各所へ報告した際に、「本当にそのリスクだけでよいのか」「その他のリスクのほうが重要ではないのか」という問いが数多く寄せられることとなる。そのような状況を防ぐために、冒頭に挙げたような、自然災害、感染症、テロの脅威、デモ・労働争議の拡大、政府による為替・貿易政策の急激な変更のリスク等、グループ全体として抱えるリスクを俯瞰し、その中から、経営陣や各部門へのヒアリングや、グループ内の過去のリスク顕在化事例を考慮のうえ、焦点を当てるリスクを特定することが必要となる。
このプロセスにおいて俯瞰するリスクの範囲を図表1で例示する。

(2)重要リスクの特定
次に、(1)でヒアリング等を元に焦点を当てることを決めたリスクのうち、さらに詳細な評価を行い、具体的に対応を講じることとする重要リスクを特定する。重要リスクの考え方は諸々あるが、日系グローバル企業では、以下の軸から検討することが多い。
●従業員の安全を脅かすリスク(テロ・暴動、自然災害、工場の火災・爆発)
●事業停止に係るリスク(自然災害等のほか、法令違反やソフトウェアのライセンス違反)
●レピュテーションに係るリスク(ストライキや労務管理の不備に起因するリスク)
このうち、事業停止に係るリスクついては、数時間から数日程度の事業停止まで完全に回避するとなると対策が膨大で現実性がないものとなるため、「1ヶ月以上事業が停止してしまうこととなるリスク」「当局から事業停止命令が出される可能性があるリスク」等、“取り返しがつかないもの”に着目するとよい。
なお、重要リスクの範囲をあまりに多くした場合、リスク対応へ割くリソースが確保できない可能性があるため、この段階ではスモールスタートを意識するとよい。
そのほか、先に述べた軸に該当するリスクのほか、ここ1、2年の傾向として、リスク管理の巧拙が財務インパクトへ直接影響を与える「経営リスク」(為替リスク、原材料価格の変動リスク、M&A後の事業運営のリスク、従業員の高齢化リスク等)に着目する企業も増加している。

(3)重要リスクへの対応
リスクへの対応策は幅広く、規程類の整備(リスク管理規程、事業継続計画等の策定)、インフラ面での対応(地震や水害に係る工場の強靭化対策等)、組織内への教育や浸透(遵守すべき法令の周知、セキュリティポリシーの説明等)等が挙げられる。上記(2)で特定した重要リスクについては、これら対応策から一つ、あるいは、複数を組みあわせて実行し、リスクを軽減することとなる。この段階で重要なことは、各対応策について、誰がオーナー(責任者)となり、いつまでに対策を進めるか、また、内部・外部コストを含め必要なリソースはどの程度か、という点を検討し具体化することである。例えば、物品やデータの盗難リスクが高い拠点については拠点の入退館のプロセスを見直したり、水害リスクが高い拠点について土嚢を積み上げた簡易な堤防を構築したりと、具体的な対策が検討されることとなるが、期限や必要なリソースを踏まえ、リスク管理委員会あるいは経営陣が会する会議にて、優先的に対応するリスク、対応しないリスク(グループとして許容するリスク)を決定することが必要である。
なお、海外拠点においては、リスクへの対応のみならず対応策検討のためのスキルやリソースが十分でないケースも多く、グループ本社のサポートが不可欠となる。ある製造業では、各種のリスクについて同業他社がどこまでやっているかを確認し、それを海外拠点に展開しており、また、別の企業では、同じグループ内の他企業や他拠点がどのようにリスク対応を行っているか、という事例をとりまとめ、グループ内の拠点に展開し、海外拠点はそれを参考に対応を検討している。

(4)Readiness、Response、Recoveryの3本柱での対応
前節(3)で述べた重要リスクへの対応について、「大規模なインフラや仕組み・システムの構築が対応として必要であるが、リソースの制限によりできない」「不正や機密漏えいリスクのように、事前に十分に備えをしていても発生件数をゼロとすることが難しいものがある」というケースが存在することにも留意しなければならない。
それらについては、Readiness(リスク評価やリスク顕在化を防ぐ事前の対応)だけでなく、Response(リスク顕在化時の対応)やRecovery(リスク顕在化で受けたダメージからの復旧)もあわせて検討することが考えられる。この2つの考え方について、代表的な対応を次にあげる。
海外事業を展開、拡大する限り、リスクをゼロとすることは難しいが、リスクが顕在化した際の対応をできるだけ具体的に考えておくことで、広報対応の失敗によりさらに世間の批判にさらされる等の二次被害を防ぎ、事業への影響を最小限にとどめることが出来る可能性が高まる。重要リスクについては、Response、Recoveryについても是非、検討いただければと思う。

2.海外拠点のリスク管理の先進事例


2-1.既存の内部統制制度を有効活用した事例

世界各国で100拠点近くの製造拠点、生産拠点を持つA社では、内部統制制度を従来より構築していたが、財務諸表の正確性の担保を目的としたその制度が、「就業規則の内容の確認」「情報システムの可用性(事業継続性)の確保」「機密情報の漏洩の防止」等に至るまで幅広くカバーしていることに着目し、その制度を海外拠点のリスク管理に広く準用することとした。 リスク管理
具体的には、近年、他の日系企業で顕在化している諸リスクについて、グループ内の海外拠点にてどのような対策を実施しているか、内部統制制度の枠組み、雛型等を活用しながらアンケートと現地でのヒアリングにて特定し、その結果リスクが高いと想定される拠点については、現地に訪問しての実地調査や、現地ならではの悩み・課題のヒアリングを実施した。対策の検討、実行についてもグループ本社がサポートし、対策状況の進捗についても、内部統制制度における統制の整備状況や運用状況の評価の枠組みの中で確認することした。
これらの仕組みにより、新たなリスク管理制度を導入することなく、また、海外拠点の負担も最小限としつつ、海外拠点のリスク管理が可能となった。

2-2.海外事業のあらゆる分野のリスクを洗い出した事例

連結における海外売上が5割を越えたB社では、これまで海外事業や海外拠点に関するリスク管理を実施しておらず、経営陣はもちろん、社内の各部門において、「いつか大きなリスクが顕在化するのでは」という漠然とした不安を抱えていた。一方、大小様々なリスク全てを評価したり、対応することは、少ない社内リソースの面からは現実的では無い。
解決策として、自然災害、感染症、テロの脅威、デモ・労働争議の拡大、政府による為替・貿易政策の急激な変更等、グループとして抱えるリスクを全て俯瞰しながらも、事業の停止やレピュテーションリスクの毀損に係る重要なリスクについてのみ、詳細な評価や具体的な対応を講じることとした。
リスク評価の過程では、グループ本社の経営陣、部門長全員から、自身が考えるリスクをあげてもらうことで、社内にどのようなリスクが存在するかが明確になるとともに社内にリスク管理の重要性が浸透し、全社一体となって重要なリスクに対応する、という体制が組まれることとなった。

2-3.海外拠点の事業停止をきっかけとしグローバルBCPを策定した事例

中国、マレーシア、フィリピン等の数十の拠点で部品・製品を製造しているC社では、2011年のタイでの水害、2013年でのフィリピンの台風等において製造拠点や拠点間をつなぐ物流が断絶した経験を踏まえ、サプライチェーンの強靭化を目標に掲げた。
それまでも一部の海外拠点においては、事業継続計画(BCP)という名称の文書が存在したが、内容は拠点によりばらばらであったたため、数十の拠点を対象とし、あらためてグループ全体の事業継続計画(BCP)を策定することとした。
BCPは、主に「事業停止リスクの有無、程度の評価」「事業停止リスクへの対応」で構成されることとなるが、各拠点にはBCPを策定するノウハウ、リソースは乏しいことを考慮し、本社が素案を作成することとした。一方、実際にBCPの担い手は各拠点となることから、本社、各拠点間の協議を重ね、拠点側が納得し拠点長がオーナーシップを持った上で、各海外拠点のBCPを完成させた。
以上、2.1から2.3まで日系グローバル企業における事例を3点挙げた。これらの事例では、グループ本社が海外拠点のリスク評価やリスクへの対応をサポートしたこと、事業停止リスク等の特定の種類のリスクに着目して対応を行ったこと、規程類の整備とともに各拠点への浸透に着目したこと等、いくつかの共通点がある。
これらの共通点は多くの業態、企業において適用しうると考えられるため、読者の皆様が海外拠点のリスク管理に取り組む際、参考にしていただければ幸甚である。

リスクマネジメント

大きな災害や事故で被害を受けても重要業務を中断しないこと、万が一、中断しても可能な限り短い期間で再開することは、企業としての重要な責任です。この認識のもと、コニカミノルタは、ワールドワイドに、かつサプライチェーン ※ を含めた視点から、この課題に取り組んでいます。
コニカミノルタでは、具体的な行動計画などをまとめた「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」を主要事業である情報機器事業、被災時のニーズの高い医療機器をはじめとして各事業部門・子会社が策定するとともに、災害発生直後に被害状況などを情報収集してBCP発動の要否を判断する「初動体制」を整備しています。
具体的には、日本における大規模な地震発生時にもお客様にご迷惑をかけないよう、消耗品、製品の供給をできるだけ継続すること、また既存のお客様へのサポート業務を継続することを基本的な方針としています。そのために、主要な消耗品の生産拠点を分散するほか、調達先についてもリスク評価を行い、リスクの大きい基幹部品については、代替手段や在庫の確保を進め、事業継続体制のレベルアップに努めています。また、コールセンターは東日本地域と西日本地域で相互にバックアップする仕組みとし、どちらかが被災した場合にもサポート対応を継続できるようにしております。その他にも、新型インフルエンザなどの感染症流行時の対応にも取り組んでいます。さらに、こうしたBCMの質を高めていくために、さまざまな訓練を実施しています。

発生したクライシスへの対応とBCMの強化

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、グループの主要拠点に大きな被害はなく、本格的なBCPの発動には至りませんでしたが、発災後1カ月間は毎朝、コニカミノルタ(株)の代表執行役社長が主催する地震対策会議を実施し、グループの視点での情報収集および適宜、適切な指示、統一的な情報発信を継続しました。その後、いつどこで起こるかわからない大災害に備えて、現場の実践力向上の取り組みを推進しています。
具体的には、グループ全拠点の初動対応マニュアルを、混乱期や、夜間休日にも確実に動けるよう見直し、実践訓練で有効性を検証、マニュアルをさらに改善するPDCAを回しています。
大規模地震の発生時には、東京都千代田区丸の内の本社が災害対策本部となり、代表執行役社長を本部長として7つの班が、迅速な初動対応にあたる体制を構築しています。この体制の検証のため、年に1回、経営トップを含め、本社の災害対策本部と、被災想定の各拠点とを結び、災害対策本部が速やかに被災状況を把握、対応を判断、意思決定するグループ一斉防災訓練を実施しており、2020年11月には、首都直下地震が発生したと想定して、関西に対策本部を立ち上げる訓練を行いました。
また、災害時の情報共有ツールとして、国内コニカミノルタグループ全拠点の被災状況をマップ化し、被害全容を把握できる「緊急時情報データベースシステム」、従業員と家族の安否を集約する「安否確認システム」を整備しており、夜間休日などの緊急時の情報共有ツールとしての社内SNS活用も整備、これら防災ICTにより、初動段階からBCP段階の円滑な対応をサポートしています。2018年6月に発生した大阪北部地震では、実際にこれらICTツールを活用、初動の情報共有に有効であることを確認できました。
このほか、2013年4月に施行された東京都条例に基づき、防災備品の拡充、帰宅困難者対策の強化などにも対応しています。
2020年1月からは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国の生産拠点を中心として危機管理体制を構築して全社的な対応を開始。その後、3月は欧米販社・生産会社、4月以降は日本拠点と対象を広げ、従業員対応、事業継続対応を行いました。

リスク管理

当社グループは、財務の健全性および業務の適切性を確保するため、グループを取り巻く様々なリスクを総体的にとらえ、リスクの特性および状況等に応じた適切な方法でリスク管理を実施しています。
当社は、「東京海上グループ リスク管理に関する基本方針」を制定し、グループ全体のリスク管理態勢の整備・高度化を推進しています。また、「東京海上グループ 統合リスク管理に関する基本方針」を制定し、格付けの維持および倒産の防止を目的としたグループ全体の定量的リスク管理を実施しています。
リスクの中でも、保険引受リスクと資産運用リスクについては、収益の源泉として管理していくべきリスクであると認識し、リスクとリターンとのバランスを勘案したコントロールを行っています。また、事務リスク、システムリスク等事業活動に付随して発生するリスク(オペレーショナルリスク等)の管理としては、そのリスクの所在を明らかにし、リスクの発生の防止、軽減等を行っています。
当社は、リスク管理部・各主管部を通じ、国内外のグループ会社に対して、リスク管理に関わる基本方針の提示や指示・指導・モニタリング等を実施しています。グループ会社においては、グループ全体の方針に沿ってリスク管理方針を制定し、リスク管理を主体的に行っています。
こうした一連の取り組みにより、グループ全体として適切なリスク管理を実践し、経営の安定化を図っています。

東京海上グループのリスク管理態勢

危機管理態勢

当社グループは、緊急事態に際して被る経済的損失などを極小化し、迅速に通常業務へ復旧するため、危機管理態勢を整備しています。
具体的には、当社が「東京海上グループ 危機管理に関する基本方針」およびそれに基づく「東京海上グループ リスク管理 危機管理マニュアル」を策定し、グループ会社が自らの役割を遂行するために必要な危機管理態勢を定めています。
そして、グループ会社では、これらグループ全体の方針などに沿って危機管理方針などを制定しています。その上で、危機管理を統轄する部署の設置や緊急事態の判定手続き、指揮命令系統の確保など、危機管理態勢の整備を行っています。危機管理の統轄部署は平時における危機管理態勢を整備する他、緊急事態発生時における当社への報告を含めた対応の事務局の役割を担うことになっています。
緊急事態となりうる事態が発生した際には、グループ会社が緊急事態の判定を行います。加えて、必要に応じて当社がグループとしての緊急事態の判定を行うことで、グループ会社への指示やグループとしての必要な対応を行える態勢としています。2020年度は、グループの緊急事態となった「新型コロナウイルス感染症」に対して、リモートワークでお客様対応を行える態勢の整備・推進、実施結果を踏まえた事業継続計画の見直しなどを行いました。

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