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戦略なくして勝利なし

戦略なくして勝利なし
軍争篇へ

Chasm(キャズム)を乗り越えたところにブレイク市場がある―Chasm Institute

「Chasm(キャズム)」は、ジェフリー・A・ムーア氏が1991年に著書「キャズム(Crossing the Chasm)」で提唱したハイテク市場向けのマーケティング理論。IT業界のメインストリームで活躍する複数の企業がキャズムを取り入れ成功したことで知られる。そのムーア氏が名誉会長を務めるChasm Institute LLC(キャズム・インスティテュート合同)は、企業がChasmを導入するための教育およびコンサルタントを行っている。今回、キャズム・インスティテュートで、実際にユーザー企業に赴きキャズム導入の支援を行っているマネージングディレクターのマイケル・エックハート氏が来日、話を聞くことができた。

エックハート氏の話の前に、キャズムについて説明しておく。キャズムは前述の通り、マーケティング・コンサルタントのジェフリー・A・ムーア氏が1991年に著した「Crossing the Chasm」で、ハイテク市場向けのマーケティング理論として登場したものだ。Chasmとは、英語で「隔たり」「地表の裂け目」「深い溝」を意味する。ハイテク分野の新しい製品やサービスがローンチ後、成長期に差し掛かる直前に立ちはだかる深い溝を「キャズム」と呼んでいる。

Chasm Instituteがキャズムの説明によく使っているのがTMM(The Tech Market Model)の図(図1)。Early Marletの次に来るのがキャズムで、それを超えるとBowling Alley、Tornado、軌道にのるとThriving(盛況)Market、Maturing(成熟)Market、Decling(減退)Marketという道をたどるということが示されている。TMMはテクノロジートレンドを対象としており、特定の企業や製品を対象としていない。例えば、キャズムの対象は「iPhone」ではなく「スマートフォン」、「iPad」ではなく「タブレット」というように。

(図1)Chasm Instituteが提唱するキャズムとThe Tech Market Model
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―Chasm Instituteはm企業のマーケティング戦略を考えているのか、それとも企業変革を考えているのか。

Chasm InstituteのMichael Eckhardt氏

マーケティングは、われわれの仕事の一要素にすぎない。大きくは、ユーザーが新しい製品を市場に出していく、それによって変革していくことの手伝いをしている。IoT、ビッグデータなど新しいテクノロジーエリアにおいて、クライアントが市場参入するうえで勝利するための戦略、戦っていくべきエリアの特定などを行っている。大手企業であれば、現状を変革するような新しいテクノロジーを扱っている企業のエグゼクティブやプロダクトチームが直接の顧客となる。一般に「Marketing」というと、広告戦略的な取り組みを意味するが、Chasm Instituteが提供しているのは「Go to Market」のストラテジーだ。

―Go to 戦略なくして勝利なし Marketのストラテジーとは、経営陣のするべき仕事そのものではないのか。戦略立案を自分たちで考えずに、アウトソースするということになるのか。

エグゼクティブの仕事を肩代わりするのではない。Chasm Instituteは、ツールやメソッドを使ってユーザーがGo to Marketを体系的に実現する手伝いをしている。シリコンバレーやボストン、シンガポールのユーザー企業のエグゼクティブはエンジニア出身者が多いので、テクノロジーに対する理解や洞察が深い。その一方で、市場におけるリクワイアメントに関しては、十分に把握できていない人が多い。

孫子の兵法

孫子の兵法-虚実篇

先回りして備える経営へ

『孫子曰く、先に戦地に処りて、敵を待つ者は佚し、後れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。』

『能く敵人をして自ら至らしむる者は、之を利すればなり。能く敵人をして至るを得ざらしむる者は、之を害すればなり。故に、敵、佚すれば能く之を労し、飽けば能く之を飢えしめ、安んずれば能く之を動かす。其の必ず趨く所に出で、其の意わざる所に趨く。』

先行管理とは、一ヵ月後、二ヵ月後、三ヵ月後、できれば半年後くらいまで見通して、今何をすべきかを考えていくマネジメントを言う。その会社の平均商談期間などにもよるが、たとえば平均で商談が成立するのに三ヶ月程度かかるのであれば、最低でも三ヵ月後か四ヵ月後までの受注見込を把握して手を打っておかなければならない。当月の売上が足りないからと言って、焦って手を打っても、商談成立までには三ヶ月かかるわけだから時すでに遅し、である。
そうではなく、三ヵ月後、四ヵ月後の受注見込、売上見込が少ないことが把握できた時点で手を打つ。ここで手を打っておくから、三ヵ月後、四ヵ月後に成果が出るのだ。それなのに、前月の売上結果を集計して、あれが良かった、これが悪かったと結果管理をしているようでは、話にならない。そんな話をするのが、翌月の5日とか10日あたりでは、すでにその月も残り20日程度しかない。済んだことを報告して、ガタガタ言うばっかりの無駄な会議は止めた方がいい。
案件や物件を追いかける新規中心の営業スタイルの会社であれば、当然数ヶ月先までの先行管理がなされなければならないし、既存中心のルート営業の会社であったとしても、先の数字を見越して、必要な手を前倒しで打っていかなければならない。
営業部門がこうした先行管理にシフトできると、仕入購買から、生産計画、資金繰りまでが先行管理で、先手を打てるようになるから、会社に余裕が生まれ、経営も楽になるのだ。これによって、経営の質がかなり上がる。

そして、もう一つ、先行指標というものを考えてみよう。
たとえば、受注や売上などは、結果として出てくるものであって、これを見ているだけでは結果指標による管理だと言える。実際には受注や売上の前には、新規の見込創出数や、そのために行われる営業マンの訪問件数や電話本数などの活動がある。これら結果が出るまでのプロセスにおける指標のことを先行指標と言う。
この先行指標をマネジメントすることで、マネジメントのサイクルを速くすることができるのだ。一ヶ月に10件の受注が必要だとしよう。一ヶ月経って、受注が10件あるかないかをチェックするのでは、うまく行っていない場合の対策が遅れることになる。そこで、10件の受注をするためには、提案書提出がその3倍の30件なければならないと仮定してみる。提案書提出を毎月30件コンスタントに実行することが、毎月10件の受注のためには必要なのだから、提案書提出を週に8件行うという先行指標を設定してみる。それであれば、週単位で8件提案書提出したかどうか、できていないとすればどうするのか、を検討することができ、ギャップの修正がマンスリーからウィークリーになって、その分だけ経営が速くなる。
さらに、週に8件の提案書提出をするためには、一日に3件は新規訪問がなければならないとしよう。今度は、一日に3件の新規訪問が先行指標となる。これであれば、デイリーにギャップを認識することができ、さらに打ち手も速くなる。
これらがつながると、日々3件の新規訪問を行うことで、週に8件の提案書提出先を確保することができ、月間で30件の提案書提出ができれば、10件の新規受注ができるという仮説が立てられたことになる。もちろんこれは仮説のストーリーであって、いつも思うように行くとは限らないが、先行指標があることによってマネジメントサイクルが速く回り、それだけ行動修正の機会が多くなることで、机上の空論の実現性が高まることになる。
そして実際にやってみて、仮説ストーリーが実態に合っていないということが分かれば、先行指標の設定の仕方を変えれば良いから、まずは結果指標、先行指標の仮説ストーリーを作って実行してみることである。完璧なストーリーを作ろうとせず、仮説なのだから、まずはやってみること。これが大切。

こうした先行管理、先行指標による管理ができるようになると、経営が速くなって、さらに強くなる。やってみなければ分からない・・・、月末に締めてみないと分からない・・・、月末の追い込みで営業マンがどれだけ受注するか分からない・・・、という結果頼み、現場頼みの経営をしていては、結果をより良くすることもできないし、その後の業務プロセスにも無駄が生じ、余計な在庫やコストや手間を生むことになってしまうのだ。 戦略なくして勝利なし
こうして経営が先行管理になって、余裕ができたら、今度は顧客のニーズを先回りし、顧客をこちらのペースに巻き込んでいくことを考える。顧客に言われてから動いてはダメである。顧客がまだ気付いていない時点で、顧客がまだ感じていない時点で、こちらは先回りする。「そんなの無理だ」と言わずに、そうするためにはどうすれば良いのかを考えてみよう。簡単なことではないが、そうしようと思わない限り一生そうはならない。
顧客が予想していない、そこまで期待していないニーズを創造し、そこを急襲するのだ。

無形無声の戦い

『千里を行きて労せざる者は、無人の地を行けばなり。攻めて必ず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。守りて必ず固き者は、其の攻めざる所を守ればなり。故に、善く攻むる者には、敵、其の守る所を知らず。善く守る者には、敵、其の攻むる所を知らず。微なるかな微なるかな、無形に至る。神なるかな 神なるかな、無声に至る。故に能く敵の司命を為す。 』

『進みて迎う可からざる者は、其の虚を衝けばなり。退きて止む可からざる者は、速やかにして及ぶ可からざればなり。故に我れ戦わんと欲すれば、敵、塁を高くし溝を深くすると雖も、我れと戦わざるを得ざる者は、其の必ず救う所を攻むればなり。我れ戦いを欲せざれば、地を画して之を守るも、敵の我れと戦うを得ざる者は、其の之く所を膠けばなり。』

たとえば、人口減少している地方都市に進出すると考えてみよう。衰退マーケットで規模も小さい。そういう場合には社員一人を送り込んで、マンションオフィスでも良いではないか。住宅兼オフィスだ。電話は転送にして、事務処理はすべてIT化して本社でまかなう。そのエリアのマーケットは縮小していても、自社にとってはプラスアルファの売上だから、コストをかけなければプラスになる。
逆もまた良し。地方企業が首都圏を攻めてもいい。それこそニッチなところを狙う。ニッチでも首都圏の巨大マーケットであれば、そこそこのパイになる。これもバーチャル戦法で行く。無形の戦いだ。地方が厳しければ、孫子の兵法を使って他地区に打って出よ。
特殊な商品というのはなかなか売れないが、これもまた虚を衝く良い商品だ。年に一個売れるかどうか、といった品揃えも敢えてやってしまう。他社のやらないことが虚の戦略である。但し、それを実現しようと思えば、ITを活用して在庫管理を徹底するか、製造直販のような仕組みを作りたい。気合と発想だけでなく、実を伴うシカケ、シクミが必要となる。

こうした小さな売上、なかなか売れない商品を積み上げ、拾っていく戦略を「ロングテール(長尾)戦略」と言う。普通はグローバル展開するネット企業などが採る戦略だが、中堅・中小・零細ならロングテールで充分だ。敵のいない特殊分野、辺鄙な町でロングテールを伸ばせば、案外いい商売になる。
IT(バーチャル)を活用することによって、まさに目に見えない世界でビジネスを進めるのだ。それが無形の戦いであり無声の戦略である。 微なるかな微なるかな・・・・・神なるかな神なるかな・・・・・

フォーカス戦略で小が大を制す

『故に、善く将たる者は、人を形せしめて我に形無ければ、則ち我は専りて敵は分かる。我は専りて一と為り、敵は分かれて十と為らば、是れ、十を以て其の一を攻むるなり。我寡なくして敵衆きも、能く寡を以て衆を撃つ者は、則ち吾が与に戦う所の者約なればなり。』

『吾が与に戦う所の地は知る可からず。則ち敵の備うる所の者多し。敵の備うる所の者多ければ、則ち吾が与に戦う所の者寡なし。故に、前に備うれば則ち後寡なく、後に備うれば則ち前寡なく、左に備うれば則ち右寡なく、右に備うれば則ち左寡なく、備えざる所無ければ則ち寡なからざる所無し。』

敵が大軍であっても、兵力を分散させてしまえば、恐れるには足らないと孫子は説いた。こちらは逆に一点集中、一点突破だ。現代の企業経営も同じ。相手が大きくても、分散してくれれば、個別の戦いでは大したことはない。こちらは得意分野にフォーカスする。
実際、競合企業の方が大きくても、すべての事業、商品分野で競合していることは少ないだろう。競合先が300名規模の会社で、自社が30名の規模とする。相手は自社の10倍だ。だが、それくらいの差があると、競合先は複数の事業をやっていたり、地域が広域に広がっていたりするから、自社が行っている事業、もしくは商品分野の担当は20名しかいない、というケースは少なくない。そうであれば、敵は20名、こちらは30名で形勢逆転だ。さらにこちらが敢えてエリアを絞り込んで集中させていくと、競合の担当者は5名だけみたいなことになって、5対30の戦いに持ち込むこともできたりする。
もちろん会社対会社の体力勝負になると、小さい方が弱いから、ヘタな価格競争などをしかけてはならない。相手は事業が分散しているだけに、自社を狙い撃ちされて、競合事業だけを赤字覚悟でディスカウントして潰しにくるかもしれない。総力戦にはならないように気をつけながら、敵を分散させ、こちらはフォーカス。これを忘れないように。

主体的に戦略ストーリーを描け

『寡なき者は人に備うる者なり。衆き者は人をして己に備え使むる者なり。故に、戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし。戦いの地を知らず、戦いの日を知らざれば、左は右を救うこと能わず、右は左を救うこと能わず、前は後を救うこと能わず、後は前を救うこと能わず。況んや、遠き者は数十里、近き者は数里なるをや。以て吾れ之を度るに、越人の兵は多しと雖も、亦た奚ぞ勝に益せんや。故に曰く、勝は擅ままにす可きなりと。敵は衆しと雖も、闘うこと無からしむ可し。』

衆寡逆転の戦法の続き。ここで大切なことは、主体的に動くか、受動的に受身に回ってしまうかということである。主体的に動くためには、こちらにビジョン、構想、戦略ストーリーが必要となる。
孫子は、戦いの場所と戦う日が予め分かっている場合には、仮に千里も離れた遠い戦場であったとしても充分な備えが可能だから戦っても良いと教えてくれている。
自社が主導し、構想し、主体的にビジネスモデル、戦略ストーリーを構築することができていれば、どんな競合企業とも有利に戦いを進めることができるし、そもそも不利な戦いには近寄らないようにしていけば良いことになる。
業界ナンバーワン企業でない限り、自社よりも強大な敵と戦わざるを得ない状況が起こりうる。今は、業界の垣根を越えて、ビジネスモデル競争をする時代でもあるから、業界ナンバーワン企業であっても異業種・異分野の巨大企業と戦わざるを得ないこともあるだろう。
より強い敵と戦うわけだから、短期間では無理な場合がある。1年や2年ではとても対抗できない。だが、仮に現状はそうであっても、これが5年、10年、場合によっては20年先であればどうだろうか。不可能とは言えまい。いや、用意周到に準備し、こちらが主導して手を打っていけば勝てる。
千里の道を、時間軸で考えてみれば良い。5年、10年では無理そうなら、千里の道を20年と考える。20年かけて勝つストーリーを描いてみる。長い道のりではあるけれども、自社が主導していける道のりである。戦いの場所も日時もこちらが決める。

ここで「可視化マップ」を描いてみると良い。20年後の戦略の地図を描くのだ。なぜ20年後かというと、現状の制約やしがらみから逃れるためである。どうしても3年、5年、10年程度のスパンでは、「人がいない」「金がない」「技術がない」などと言い訳が出てくる。しかし20年も先なら、ゼロから起業したとしても色々できる。現状の制約を外して、理想の戦場とその日時を決めるのだ。
20年も先のことだから、厳密に考え過ぎずに、思い切って描いてみれば良い。未来予測の正確性を競っているわけではないのだ。どうせ5年ごとに描き換える。20年後の戦うべき場所が決まったら、そこに向けてどう動いていくかを、5年後のマップ、1年後のマップへと落とし込んで、今どうするべきかを明確にする。
当然、現状からの積み上げではなく、20年後からの逆算でなければならない。これができれば、長期、中期、短期の経営ストーリーに一本の筋が通り、戦略整合性が高まる。
仮に、遠い20年後に向けた道のりであっても、その戦場と開戦の日が自社の思うように決められるのであれば、「戦うべし」。それが孫子の教えだ。
中小企業、未上場・非上場のオーナー会社だからこそ、目先の収益や外部の声に惑わされず、長期的な視野を持って、自社の独自の戦略とその実行ストーリーを持って経営していくことができるのだ。

小さな会社こそ、長期の大きな地図を描くべきである。壮大な、夢のある地図が良い。それによってまた人も集まり、より戦略実現の可能性が高まる。
主体性を持って経営に取り組むこと。競合や、親会社や、景気などに左右され、受身の経営をしていては、いつまで経っても儲かるようにはならないし、仮に規模が大きくなっても、守りで兵力が分散して、一点集中で攻めてくる新興企業に撃破されることにもなりかねない。
孫子の兵法を学んで、主体的に経営することを意識して欲しい。

相手の意図をつかみとれ

『故に、之を策りて得失の計を知り、之を作して動静の理を知り、之を形して死生の地を知り、之に角れて、有余不足の処を知る。』

『故に、兵を形すの極みは無形に至る。無形なれば、則ち深間も窺うこと能わず、智者も謀ること能わず。形に因りて勝を衆に錯くも、衆は知ること能わず。人は皆、我が勝の形を知るも、勝つ所以の者は知る可からず。故に其の戦い勝つや復さずして、形に無窮に応ず。』

敵と対峙した時には、ただ敵の動きを見張るのではなく、敵に揺さぶりをかけ、軽く攻撃してみたりして、相手の行動基準やいつ動き、いつ動かないかの判断基準をつかめと孫子は説いた。それができれば、敵の動きを先回りして攻撃したり、敵の狙いを逆手にとって、敵をこちらの思うように動かすことができるようになる。相手の動きを見てから動き出していては後手を踏む。
これを企業経営においては、顧客の判断基準、購買基準をつかむことだと置き換えることができる。顧客訪問し、いちいち顧客のニーズや考えを聞いていたのでは、後手に回ることになる。言われてから動いたのでは、必ず二度手間となる。顧客が「いつ買うのか」「いくらなら買うのか」「誰が意思決定するのか」「どうなれば買うのか」が分かれば、それに合わせて先回りして先手を打つことができる。
そんなことを顧客が教えてくれるわけがないと思うだろう。「そんなことが分かれば苦労はしない」と言いたくなる気持ちも分かるが、これができる。読心術を使うわけではないので、その場では分からないが、多少時間をかければ「見える化」できるのだ。
そのためには、孫子だけでなく、孔子(論語)の智恵も少し拝借する。「其の以うる所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉んぞ廋さんや、人焉んぞ廋さんや」の「視・観・察」の教えだ。
まず、営業マンが顧客と商談する時には「視」で相手の言動を客観的によく見る。表情の変化や微妙な間も読み取ろう。
しかし顧客は本当のことを言ってくれなかったり、本心を隠していたりするから、その裏を読む推察をしなければならない。これが「察」。「高いと言っているけど買いそうだな」とか「権限があるようなことを言っているけど実はないのではないか」「金がないと言いながら高級そうな時計をしているし、実は予算に余裕がありそうだ」といったものだ。これをITに記録すると、過去からの経緯として時系列に読み返すことができる。これが「観」。「観」とは時間の経緯に沿って見ていくことだ。時間を追って見ていくと、「3年前にはこういうことがあったけど、1年前にはこういうことになった。ということは、○○が判断基準だな」というものが見えてくる。その場その場での「察」には、どうしても読み間違いがある。だがそれが積み重なると、だんだん正解が見えてくるようになるのだ。
残念ながら、こうした顧客の「視・観・察」はベテランの営業マンの頭の中にしまい込まれていたりする。だからベテラン営業マンは、いちいち顧客に尋ねなくても、買うか買わないか、いくらなら買うのかが分かったりするのだが、如何せん頭の中にあるだけだから他人が活用することができない。それも人間の記憶に頼っているから、限られた顧客に対してしか「視・観・察」が効かない。そこで、そうした情報をITに蓄積し、共有することで、組織としての財産にする。これが顧客の「見える化」であり、孫子の兵法と論語の智恵を現代に活かす非常に効果の高い取り組みである。
これによって、顧客の利害得失と価値判断基準をつかんで先回り営業(提案)することができれば、確実な成果が出ることは間違いない。

敵の意図や判断基準をつかむべきだと言う教えがある一方で、それは逆から見れば、敵からこちらの判断や意図を見透かされてはならないことを意味する。だから孫子は、戦い方の究極は無形であると言った。
形が無ければ、見えないし、その意図や狙いを探ることもできない。形が無いわけだから、味方であってもその意図が分からない。時にはそれくらいの周到さがあってもいい。
競合企業との厳しい戦いがあって、価格競争がドロ沼化してしまっているとか、新規事業、新商品で一気に新マーケットを作りたいとか、逆にある事業分野、商品分野から撤退したいとか、相手にはこちらの動きを察知されたくないようなケースがある。そうした場合には、敵を欺くにはまず味方からということも考えなければならない。
自社の社員が競合企業に情報を漏らすようなことは無かったとしても、ついつい現場での詰めが甘くなったり、油断して客先で話したことが競合に伝わってしまったりということもある。
仮に社員には悪意は無かったとしても、今はブログやツイッターなどもあるから、何気なくネット上につぶやいてしまったことで情報が漏れてしまうようなこともある。
組織を動かす上では、原則として情報共有が求められるが、時と場合によっては、社内でも知られてはならないことがある。撤退戦略やM&Aなどもそういう情報だろう。ヘタに社員が知っていると動きにくくなったりするし、そもそも交渉事がうまく進まなくなることがある。
世の中にはいろいろな人がいるし、もちろんいい人ばかりではない。競合企業はもちろん自社の動きを探ろうとしているし、弱みがあればつけこもうと考えている。「そんな卑怯なマネはしないだろう」と信じるのはいいが、それで相手に裏をかかれて、後になって「だまされた」と非難しても時すでに遅し。甘い判断をした自分が悪い。経営は戦争である。兵は国の大事であることを思い出そう。
大切なことは、柔軟に、無限に、変化させること。無窮である。過去からの惰性や慣行、定型的な反復、困ったときの十八番。。。。。そうした決まった形があってはならない。得意パターンはあってもいいけれども、相手に合わせて柔軟に変えること。それが無形への道である。何があるか分からないのだから、決まった形だけで対応しようとしてはならない。無形であれ。

経営は水の如く

『夫れ兵の形は水に象る。水の行は高きを避けて下きに走る。兵の勝は実を避けて虚を撃つ。水は地に因りて行を制し、兵は敵に因りて勝を制す。故に、兵に常勢無く、常形無し。能く敵に因りて変化して勝を取る者、之を神と謂う。五行に常勝無く、四時に常位無く、日に短長有り、月に死生有り。』

無形の象徴が水だと考えればいいだろう。孫子は、軍の形は水のようなものだと言った。確かに水には決まった形はない。相手に合わせて形を変える。場所に合わせて勢いを変える。流れも常に一定ではなく、時に増水して地形まで変えてしまう。柔軟に相手に合わせながら、東日本大震災の大津波のようにすべてのものを押し流し、飲み込んでしまう力を持っているのが水である。
企業経営も水の如く、柔軟に、時代に合わせ、マーケットに合わせ、顧客に応じて形を変えなければならない。100年、200年と続く老舗企業も、創業時とまったく変わらない事業スタイルではない。時代に合わせて必要な変化を遂げて来たからこそ、世紀を超えて存続できているのだ。
しかし、残念なことに中小企業であっても、「うちにはうちのやり方がある」「うちの強みはこれだ」「ずっとこうしてやってきた」と、過去の成功体験にしがみついて変化することから逃れようとする会社がある。どんな成功体験か分からないが、何十年も経営してきて、未だに中小企業なのであれば、大した成功ではなかったわけだろうから、もっと柔軟に考えられないか。時代も環境も人の意識も変わっているではないか。
失礼な話で恐縮だが、創業時と比べれば成長してきたとしても、その期間のマーケット成長率より自社の成長率の方が小さかった会社は、競合に負けてきたのだ。それで、本当に強みなのか?本当にうまく行ったのか?本当に顧客に喜ばれているのか?冷静かつ客観的に考えてみる必要がある。現時点で存続しているのだから、一定の顧客満足を得ていることは間違いないだろう。そこにはそれなりの成功法則、成功ノウハウがあるに違いない。だが、それは一定の環境下での、自社内だけ見た時の、限られた成功ではないだろうか。
自社に思い入れや自信があるのは良いことだ。だが、企業経営をとりまく環境は急速かつ大きく変化している。慣れていること、経験したことばかりに頼っていては勝ち抜くことはできない。水のように柔軟になろう。
たとえば、今年の経営方針、営業戦略は去年と同じだろうか。当然、違うのではないだろうか。方針や戦略が変わればやり方を変えなければならないはずだが、どう変化しているだろうか。
もし、経営方針も営業戦略も去年と変わらず、同じものであるとしたら、本当にその方針や戦略に意味があるのだろうか。毎年毎年同じことしか言わないのであれば、それは方針でも戦略でもなく、理念や哲学と言うべきものであり、そう呼ぶのが恥ずかしいような内容であれば、それは単なる精神論に過ぎない。
現場の個々の社員の仕事もルーティンな定型作業に陥っていないか再考してみる必要がある。毎度、ワンパターンのお決まり業務になっていないか。5年、10年と同じことを繰り返していないか。大企業病にならないはずの中小企業なのに、官僚組織のような前例主義、形式主義に毒されていないだろうか。
経営は水の如くあれ。澱んだ水は腐る。

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Honda F1 30年ぶりの栄冠!
マックス・フェルスタッペン選手がドライバーズチャンピオンを獲得

2021年シーズンのFIA ※ フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)において、12月12日に第22戦アブダビグランプリの決勝が開催され、Red Bull Racing Honda(レッドブル・レーシング・ホンダ)のマックス・フェルスタッペン選手が優勝し、ドライバーズチャンピオンを獲得しました。フェルスタッペン選手にとっては初の総合優勝となり、Honda F1としては1991年のアイルトン・セナ選手以来30年ぶりの栄冠となります。

  • ※ Fédération Internationale de lʼAutomobile(国際⾃動⾞連盟)の略称

トップでゴールするフェルスタッペン選手

表彰台でのフェルスタッペン選手

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マックス・フェルスタッペン選手のコメント

クリスティアン・ホーナー氏のコメント

本田技研工業株式会社 代表執行役社長 三部 敏宏のコメント

「フェルスタッペン選手、初のワールドチャンピオンおめでとうございます。HRD-Sakuraでの観戦となりましたが、最後の最後までチャンピオンへの可能性をあきらめないで攻め続ける姿にとても感動しました。2019年からともに戦い続けてきたフェルスタッペン選手とレッドブル・レーシングの皆様に祝福と感謝の気持ちをお伝えするとともに、これまでHondaのF1プロジェクトに対し多大なるサポートをいただいたスクーデリア・アルファタウリやサプライヤー様ならびに関係者の皆様、そしていつもHonda F1を応援して下さるファンの皆様に御礼申し上げます。
また、Hondaにとっても悲願であるF1タイトルを獲得し、Hondaの歴史に新たな1ページを記すことができました。F1で王者になることを目標に地道な研究開発を続け、数々のブレイクスルーを果たしてきたHRD-SakuraやHRD-UKなどのプロジェクトに携わったすべてのメンバーに対しては、『本当によくやってくれた!ありがとう』という思いでいっぱいです」

マックス・フェルスタッペン選手のプロフィール

誕生日:1997年9月30日(24歳) 戦略なくして勝利なし
国籍:オランダ
出身地:ベルギー
身長:181cm
体重:72kg

主な戦績:
2014年 F3ヨーロッパ選手権 年間3位
2015年 F1世界選手権に史上最年少(17歳165日)でデビュー 年間12位
2016年 F1世界選手権 第5戦スペインGPで史上最年少優勝(18歳228日) 年間5位
2017年 F1世界選手権 年間6位
2018年 F1世界選手権 年間4位
2019年 F1世界選手権 第9戦オーストリアGPでHonda F1に2015年のF1復帰後の初勝利をもたらす 年間3位
2020年 F1世界選手権 年間3位
2021年 F1世界選手権 ドライバーズチャンピオン

地政学からモノポリーを攻略する|第1回:投資無くして勝利無し

20170123_monopoly eyecatch“ゲームバランス”を理解してますか。この連載ではモノポリーを地政学的観点から分析し、現実の不動産投資判断でもよく言われる「実質利回り」を導出していきます。
初回となる今回は、目的の確認と基本設定の確認から始めます。

まずは目的をちゃんと確認しよう

20170123_monopoly_基本的な交通と地価


ルールブックなどから整理すると、その戦略大目標は「相手を破産に至らしめる」ことであります。(当然、時間制限などを設ける場合は「自己の資産(現金+物件評価額)の最大化」と目標が少し変わります)
その目標を達成するために、自身の物件に投資し、他人から徴収する現金収入を高めていくことが有効な手段であることも解説されています。
(もう一つの有効な手段は、サイコロの目を完全にコントロールできる振り方を習得することですけどね。。
ま、出来ないから“運”にも左右されて面白いんですが・・・)

土地の価格は路線価

20170123_monopoly_目的と手段

さて、地政学の視点に行く前に基本的な交通と地価をおさらいしておきましょう。
ゲームの舞台となるのは40マスに分けられた一方通行の盤面であり、整理として、「Go」のマスを0とし、進む順路にそって1,2,3…と地番を振ることにします。 戦略なくして勝利なし
各物件の地価は、最初の1番地「地中海通り」の$60から始まり地番が進む毎に最後の39番地「ボードウォーク」の$400へと高値になっていきます。

投資無くして勝利無し

先ほどの「独占無くして勝利無し」の先に「投資無くして勝利なし」ともいえるでしょうか
し・か・し、なんでもかんでも有り金全部投資して建設することがいいとは言えないのが、数学の出番であり、面白いところ。
( 次回 に続く)

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